尊敬語、謙譲語、丁重語の混同 |
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× 「私がご覧になった限りでは・・・」 | |||||||||||
○ 「私が拝見した限りでは・・・」 | |||||||||||
「ご覧になる」は「見る」の尊敬語です。自分の行為なので、「拝見する」と謙譲語を使います。 | |||||||||||
× 「メールを拝見していただけましたか」 |
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○ 「メールをご覧になりましたか」 | |||||||||||
これは逆に、相手に対して謙譲語を使った間違いです。相手の行為には尊敬語を使います。 | |||||||||||
× 「○○様はどちらにいたしますか」 |
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○ 「○○様はどちらになさいますか」 | |||||||||||
「いたす」は「~をする」の丁重語です。自分ではなく「○○様」が主語なので、 | |||||||||||
この場合は尊敬語を使います。 | |||||||||||
× 「熱いうちにいただいてください」 |
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○ 「熱いうちに召し上がってください」 | |||||||||||
「いただく」は謙譲語です。相手の行動なので、ここは尊敬語を使います。 | |||||||||||
Point! |
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尊敬語と謙譲語、丁重語を使い分けるポイントは、その文の主語が誰なのかということです。 | |||||||||||
主語が相手側ならば尊敬語を、自分側ならば謙譲語または丁重語を使います。 | |||||||||||
二重敬語 |
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× 「社長がお見えになられました」 | |||||||||||
○ 「社長がお見えになりました」または「社長がいらっしゃいました」 | |||||||||||
「来る」の尊敬語「お見えになる」に、尊敬の助動詞「られる」がついて二重敬語になっています。 | |||||||||||
× 「お客様がおっしゃられたのは・・・」 | |||||||||||
○ 「お客様がおっしゃったのは・・・」 | |||||||||||
「言う」の尊敬語「おっしゃる」に、尊敬の助動詞「られる」はついて二重敬語になっています。 | |||||||||||
× 「何時頃お戻りになられますか」 | |||||||||||
○ 「何時頃お戻りになりますか」または「何時頃戻られますか」 | |||||||||||
「お戻りになる」で、「お~になる」の尊敬語の定型パターンです。 | |||||||||||
「れる(られる)」のパターンを使うなら、「お」はつけません。 | |||||||||||
Point! |
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二重敬語を防ぐには、「お」をつけたら「れる(られる)」は使わない。 | |||||||||||
「れる(られる)」を使うなら「お」はつけないようにします。また「れる(られる)」は、 | |||||||||||
尊敬以外に可能や受身などの意味もあるので、使い分けが難しい言葉です。 | |||||||||||
ですから尊敬の意味ではなるべく使用を避け、別の表現を使うのが無難です。 | |||||||||||
例: 見られる → ご覧になる | |||||||||||
受け取られる → お受け取りになる など | |||||||||||
こんな敬語づかいも注意! |
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させていただく病 |
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× 「先日拝見させていただいた資料について、ご相談させていただきたいと思い、 | |||||||||||
ご連絡させていただきました」 | |||||||||||
○ 「先日拝見しました資料について、ご相談させていただきたいと思い、 | |||||||||||
連絡いたしました」 | |||||||||||
最近多いのが、「させていただく」を多用する“させていただく病”。 | |||||||||||
長文で「させていただく」が続くと非常に聞きづらく、まわりくどい印象に…。 | |||||||||||
すっきりまとめた方がスマートです。 | |||||||||||
「やつ」 「やる」という言葉を使う |
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× 「やらせていただきます」 | |||||||||||
○ 「させていただきます」 または 「いたします」 | |||||||||||
× 「昨日ご注文くださったやつですね」 | |||||||||||
○ 「昨日ご注文くださったお品ですね」 | |||||||||||
× 「さっそくやりますので、少々お待ち下さい」 | |||||||||||
○ 「さっそくお調べいたしますので、少々お待ち下さい」 | |||||||||||
「やつ」は人・もの・ことを指す俗語、また「やる」も「する」の俗語的な表現で、 | |||||||||||
あまり品のいい言葉ではありません。「する」の謙譲語は「させていただく」、 | |||||||||||
丁寧語は「いたす」になりますが、なるべく具体的な動詞に言い換えましょう。 | |||||||||||
「さ」入れ敬語 |
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× 「行かさせていただきます」 | |||||||||||
○ 「まいります」 または 「伺います」 | |||||||||||
× 「送らさせていただきます」 | |||||||||||
○ 「お送りいたします」 | |||||||||||
× 「働かさせていただいております」 | |||||||||||
○ 「働いております」 | |||||||||||
「させていただく」という謙譲語と、動詞+「させていただく」という謙譲表現の区別つかずに | |||||||||||
一緒になってしまった間違い。「さ」だけとって「行かせていただきます」などとしても間違いではありませんが、 | |||||||||||
があまりスマートではありません。 | |||||||||||
「お」と「ご」の使い分けにも注意! |
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原則として、「お住まい」などの訓読みには「お」、「ご住所」など音読みには「ご」がつきます。ただし例外もありますし、「お返事」 「ご返事」のように時代とともに変化し、今では併用されている言葉もあります(本来は「ご返事」)。そのほか、「ビール」などの外来語や、「雪」などの自然現象、「私のお帽子」 「私のお考え」のように自分のことには基本的にはつけません。ただし、「お電話を差し上げます」 「ご連絡申し上げます」のように、自分のことでも相手側を立てる謙譲表現の場合には、定型パターンに従い「お」や「ご」をつけるのが正解です。 |
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